小児科|千葉県いすみ市|外房こどもクリニック




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6月の公開勉強会のご報告

2012/06/19

6/15(金)13:00~13:40 外房こどもクリニック待合ロビーで当院伊東医師による
「施設内における感染症対策」の公開勉強会を開催しました。
今回もたくさんの方々にお越しいただきありがとうございました。

概要は以下の通りです。

 多くの感染対策マニュアルは、肺炎球菌やノロウイルスのように病原体別に分類された感染症に対して詳細な記載がされています。
医療の現場では、迅速に病原体を確定できるものはけして多くありません。
「レントゲンに影があるから肺炎である」とか「嘔吐、下痢、腹痛があるから感染性胃腸炎だろう」と言った具合に感染した臓器別の分類がなされ、想定され得る病原体が複数あることが多いものです。

実際には、全体的な経過や流行状況、年齢などによって、今回は肺炎マイコプラズマが原因だろうからこの抗生物質とか、おそらくロタウイルスが原因だから特効薬(抗ウイルス薬)はないが整腸剤を使いましょうなどという形で診療は行われます。
たいていの場合、病原体の特定がなされなくとも患者さんは良くなるため、病原体の特定は必須ではありません。

学校や保育所などの施設では、様々な感染症が流行します。
原因の病原体が特定できないことが多いと思われますが、それでも適切な感染対策が行えます。
咳、鼻水などの症状があるものはおそらく呼吸器感染症で、飛沫感染が主たる感染経路であろう。
嘔吐、下痢などの消化器症状は感染性胃腸炎/眼脂を伴うものは感染性結膜炎/皮膚の滲出液を伴うものは皮膚感染症だから、接触感染(汚染された手を介して伝搬する)が主たる感染経路であろうということが予想できます。

学校保健安全法に規定されている学校感染症のうち、よく出会う病気は10種類程度です。
第2種感染症は呼吸器感染症が主で、呼吸器感染対策(マスク)、第3種感染症対策は接触感染するものが主で、手洗い等に注意すればいいだろうとわかります。
第2種感染症のうち麻疹(はしか)と水痘だけは例外で空気感染対策が必要ですが、これらは予防接種によってほとんど予防できるものですから、集団発生した有事の場合を考慮するより、まずはワクチン接種歴を確認し、接種回数が不十分なものがいれば接種勧奨をすることが、よりよい方法だと思います。

例外的なことは探し出せばきりがありませんが、シンプルに上記のようなことを中心に考え、実践することが忙しい業務の中で有効かつ妥当な対策と言えるかと思います。

以下が参考になるかと思います。

学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説
日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会2012年1月改訂版
http://www.jpeds.or.jp/saisin-j.html

保育所における感染症対策ガイドライン 
厚 生 労 働 省平成21年8月
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/hoiku02.pdf

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